図工・美術への苦手意識
私は常々表現活動に対する「苦手」という感想に疑問を持っていた。「好きじゃない」や「嫌い」といった回答ならば納得出来るが、「苦手」だけはどうもピンと来なかった。
自分の意と反して・・・というニュアンスがあるからだろう。
工芸や技術といった教科やデッサンは技能の差異を意識しやすいが、簡単なイラストとなると例え本物そっくりに描けなくても「下手ウマ」といったジャンルもあるように、それが個性となる。なぜ「上手くないから」「苦手」という言葉になるのだろうか。
今回はそう言った人々の意識に潜む問題を観点に意見を述べる。
また、この際「不器用で思った通りに手が運べない」という物理的要因は省き、心的要因や意識的なものを対象に述べる。
「図工・美術が苦手」
この「得意」「苦手」といった判断基準はどこからやってくるのだろうか。
言葉の意味を整理していく。
「苦手」
1 得意でないこと。また、そのさま。不得手。
(引用:http://dictionary.goo.ne.jp/jn/166338/meaning/m0u/)
まず苦手の意味を調べると「得意」の反対であることが分かる。
それでは「得意」の意味はどうか。
「得意」
1 自分の思いどおりになって満足していること。「―の絶頂」⇔失意。
2 誇らしげなこと。また、そのさま。「―な顔」「―になる」
3 最も手なれていて自信があり、じょうずであること。また、そのさま。得手 (えて) 。「―な競技種目」「―中の―」
(引用:http://dictionary.goo.ne.jp/jn/157848/meaning/m0u/)
つまり、自分の思い通りにならない。自信がない。慣れていない。ということが理由となることが分かる。理想があり、その地点に到達しないのだろう。
次にアンケート(個人的Twitterにて知人を対象としたもの。リプライがあった者に詳しく話しを聞いたもの。)を取ってみた中で、今回強く関係があると思ったものを軸に話しを展開していく。
アンケートの回答の中で、「先生の教え方が悪かったから」「成績が悪かったから」というトラウマ的な問題の他に「正解が分からないから」「思うようにできないから」というものがあった。
「正解が分からないから」という回答者は、正解なんてものはないことはわかっているが、そもそも人並みにできるやり方が全くわからない。基礎基本がわからない。上手くいかないと恥ずかしい。といった意見も聞くことができた。確かに「個性」を尊重するあまり技法の紹介等ないがしろになっていた気がする。教師の座学より実践の時間を多く取りたがるのが理由の一つだろう。
表現活動に集中できるようにするため、安心させるための時間を設けることが改善策となり、ただ楽しんで表現するだけではなく、絵の具の正しい使い方や筆の扱い方、鑑賞から技法の実践といった知識の時間も必要であることがわかった。
「思うようにできないから」の回答者にも、上記の改善策が良い働きをもたらすだろう。
試行錯誤の中での新たな発見につながる上、向上心を持たせる良い機会なので、失敗体験として記憶に残らぬよう教師側の指示が重要である。
私自身上手く表現できないことも多いが、「苦手」という表現にならないのは「楽しい」が上回るからだろう。楽しい思い出をたくさん作らせていきたい。
せめて「苦手だけど好き」へ、そして「好きだけど苦手」へとの変化を期待する。